確定申告で住宅ローン控除の適用を忘れてしまった場合に、更正の請求を行えるか
[相談]
私は個人事業主で、毎年自分で所得税の確定申告を行っています。
さて、私は一昨年11月に新築マンションを購入し
同年12月初めに引っ越しを行い、そのマンションでの居住を開始しました。
そのマンションの購入については住宅ローンを組んでいるため
昨年申告した一昨年分の所得税の確定申告にて
事業所得の申告とあわせて住宅ローン控除の適用を受けようと考えていたのですが
うっかりしていたため確定申告書に住宅ローン控除の適用を受けるための記載をすることや
必要な書類の添付をすることを忘れ、そのまま申告してしまいました。
そこでお聞きしたいのですが、私は一昨年分の所得税確定申告について
「更正の請求」を行うことで住宅ローン控除の適用を受けることはできるのでしょうか。
[回答]
住宅ローン控除については、残念ながら更正の請求を行うことは
できないこととされていますが、税務署の判断により適用を受けられる場合がありますので
一度、所轄税務署に相談されることをおすすめいたします。
[解説]
1.住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)制度の概要
所得税法上、個人が、国内において住宅の取得等をして
これらの家屋を令和3年12月31日までの間にその人の居住の用に供した場合において
その人がその住宅の取得等に係る住宅借入金等の金額を有するときは
原則として、その居住の用に供した日の属する年以後10年間の各年のうち
その人のその年分の合計所得金額が3,000万円以下である年については
その年分の所得税の額から、住宅借入金等特別税額控除額を控除することと定められています。
この制度を、住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)といいます。
この住宅ローン控除は、所得税の確定申告書に、原則として
住宅ローン控除の規定による控除を受ける金額についてのその控除に関する記載があり
かつ、その金額の計算に関する明細書、登記事項証明書その他の書類の添付がある場合に限り
適用するものと定められています。
2.住宅ローン控除の適用漏れについての更正の請求の可否
税法上、納税申告書を提出した人は、その申告書に記載した税額等の計算が
国税に関する法律の規定に従っていなかったり、その計算に誤りがあったりしたことにより
その申告書の提出により納付すべき税額が過大であること等の場合に該当するときは
その申告書の法定申告期限から5年以内に限り、税務署長に対し
その申告について「更正の請求」を行うことができると定められています。
しかしながら、住宅ローン控除のように一定事項の申告等を条件に所得金額
税額の減免をすべきものとされているものについてその申告等をしなかった人については
その申告自体が法律の規定に従っていなかったり、計算に誤りがあったりしたわけではないことから
その特例の適用を求めるために上記の「更正の請求」をすることは許されないと解されています。
一方で、税務署長は、確定申告書の提出がなかった場合や
確定申告書に住宅ローン控除に関する事項の記載や
必要書類の添付がない確定申告書の提出があった場合においても
その提出等がなかったことについてやむを得ない事情があると認めるときは
その記載をした書類等の提出があった場合に限り、住宅ローン控除の規定を適用することができる
とも法律で定められていますので
今回のご相談の場合には、まずは所轄の税務署に一度相談されることをおすすめいたします。
中古マンションの購入に対する住宅ローン控除の適用可否
[相談]
令和3年11月に中古マンションを購入し、12月初めに引っ越しをし
そのマンションでの居住を開始しました
中古マンションの購入についても、住宅ローン控除の適用はあるのでしょうか。
[回答]
ご相談の中古マンションの購入については、
定の要件を満たせば、住宅ローン控除の適用が可能です。
[解説]
1.住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)制度の概要
所得税法上、個人が、国内において住宅の取得等をして
これらの家屋を平成11年1月1日から令和3年12月31日までの間に
その者の居住の用に供した場合において、その者がその住宅の取得等に
係る住宅借入金等の金額を有するときは
原則として、その居住の用に供した日の属する年以後10年間の各年のうち
その者のその年分の所得税に係るその年の合計所得金額が3,000万円以下である年については
その年分の所得税の額から、住宅借入金等特別税額控除額を控除することと定められています。
この制度を、住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)といいます。
2.中古マンションの取得についての住宅ローン控除の適用可否
上記1.の住宅ローン控除の対象となる住宅の取得等には
居住用家屋の新築や居住用家屋で建築後使用されたことのないものの取得だけでなく
建築後使用されたことのある家屋(中古住宅)の取得も含まれています。
ただし、中古住宅の取得の場合には
その家屋が建築された日からその取得の日までの期間が20年
(マンションなどの耐火建築物(※)の建物の場合には25年)以下であること
配偶者その他その者と特別の関係がある者からの取得でないこと
贈与による取得でないこと等の要件が設けられていますので
そのお客様の確定申告を行う際には
それらの各種要件を満たしているかどうかをしっかりとご確認いただくことをおすすめいたします。
※耐火建築物とは、登記簿に記録されたその家屋の構造のうち
建物の主たる部分の構成材料が石造、れんが造、コンクリートブロック造
鉄骨造、鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造であると定められています。
令和3年分源泉徴収票からスマホ撮影で自動転記が可能となります
納税者の利便性向上や転記ミスの軽減効果
国税庁は、スマートフォンのカメラ機能により紙の源泉徴収票を読み取ることで
必要項目がデータ上に自動転記できるシステムを導入するようです。
令和3年分の所得税の確定申告から対応できるようにする見込みです。
同システムを利用することで
納税者は紙の源泉徴収票に記載された金額等を転記する手間が省略化され
転記ミスの防止にもつながるようです。
2022年1月上旬からシステム始動
デジタルを活用した国税に関する手続や業務の見直しとして
国税庁は「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション-税務行政の将来像2.0-」
の中で税務手続等のデジタル化を掲げていました。
令和2年度・3年度予算において同システムの構想を進めており
2022年1月上旬から本格的に活用を始める見込みです。
同システムは,スマートフォンのカメラ機能を利用するようです
①納税者は、まずスマホ端末から申告データが作成できる国税庁HPの
“確定申告書等作成コーナー”にアクセスします。
②次に、紙の源泉徴収票をカメラで撮影することによって
記載されている支払金額や各種控除額等の文字認識が行われ
必要事項が自動的に転記されます。
これまでは申告書類に紙の源泉徴収票の記載内容を一つひとつ転記する必要がありました。
今後はこうした入力の手間を省略することができ、記載漏れや転記ミスが防止できます
ただし、同システムの利用は源泉徴収票に記載された部分の申告データの作成に限られます
他の所得や医療費控除等の各種控除手続については別途入力する必要があるようです。
******************
近江清秀公認会計士税理士事務所
651-0087神戸市中央区御幸通8-1-6
神戸国際会館17階
(Tel)078-959-8522
(Fax)078-959-8533
オフィシャルHP
https://www.marlconsulting2.com/
AI搭載クラウドシステムfreeeの導入兵庫県第1位のHP
累計600件以上の相続税申告実績!相続税専門税理士のHP
不動産賃貸専門税理士のHP
兵庫M&A・事業承継支援センターのHP
******************