2022.01.14

確定申告で住宅ローン控除の適用を忘れてしまった場合に、更正の請求を行えるか

[相談]

私は個人事業主で、毎年自分で所得税の確定申告を行っています。

さて、私は一昨年11月に新築マンションを購入し

同年12月初めに引っ越しを行い、そのマンションでの居住を開始しました。

そのマンションの購入については住宅ローンを組んでいるため

昨年申告した一昨年分の所得税の確定申告にて

事業所得の申告とあわせて住宅ローン控除の適用を受けようと考えていたのですが

うっかりしていたため確定申告書に住宅ローン控除の適用を受けるための記載をすることや

必要な書類の添付をすることを忘れ、そのまま申告してしまいました。

そこでお聞きしたいのですが、私は一昨年分の所得税確定申告について

「更正の請求」を行うことで住宅ローン控除の適用を受けることはできるのでしょうか。

[回答]

住宅ローン控除については、残念ながら更正の請求を行うことは

できないこととされていますが、税務署の判断により適用を受けられる場合がありますので

一度、所轄税務署に相談されることをおすすめいたします。

[解説]

1.住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)制度の概要
所得税法上、個人が、国内において住宅の取得等をして

これらの家屋を令和3年12月31日までの間にその人の居住の用に供した場合において

その人がその住宅の取得等に係る住宅借入金等の金額を有するときは

原則として、その居住の用に供した日の属する年以後10年間の各年のうち

その人のその年分の合計所得金額が3,000万円以下である年については

その年分の所得税の額から、住宅借入金等特別税額控除額を控除することと定められています。

この制度を、住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)といいます。

この住宅ローン控除は、所得税の確定申告書に、原則として

住宅ローン控除の規定による控除を受ける金額についてのその控除に関する記載があり

かつ、その金額の計算に関する明細書、登記事項証明書その他の書類の添付がある場合に限り

適用するものと定められています。

2.住宅ローン控除の適用漏れについての更正の請求の可否
税法上、納税申告書を提出した人は、その申告書に記載した税額等の計算が

国税に関する法律の規定に従っていなかったり、その計算に誤りがあったりしたことにより

その申告書の提出により納付すべき税額が過大であること等の場合に該当するときは

その申告書の法定申告期限から5年以内に限り、税務署長に対し

その申告について「更正の請求」を行うことができると定められています。

しかしながら、住宅ローン控除のように一定事項の申告等を条件に所得金額

税額の減免をすべきものとされているものについてその申告等をしなかった人については

その申告自体が法律の規定に従っていなかったり、計算に誤りがあったりしたわけではないことから

その特例の適用を求めるために上記の「更正の請求」をすることは許されないと解されています。

一方で、税務署長は、確定申告書の提出がなかった場合や

確定申告書に住宅ローン控除に関する事項の記載や

必要書類の添付がない確定申告書の提出があった場合においても

その提出等がなかったことについてやむを得ない事情があると認めるときは

その記載をした書類等の提出があった場合に限り、住宅ローン控除の規定を適用することができる

とも法律で定められていますので

今回のご相談の場合には、まずは所轄の税務署に一度相談されることをおすすめいたします。

2022.01.09

中古マンションの購入に対する住宅ローン控除の適用可否

[相談]

令和3年11月に中古マンションを購入し、12月初めに引っ越しをし

そのマンションでの居住を開始しました

中古マンションの購入についても、住宅ローン控除の適用はあるのでしょうか。

[回答]

ご相談の中古マンションの購入については、

定の要件を満たせば、住宅ローン控除の適用が可能です。

[解説]

1.住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)制度の概要
所得税法上、個人が、国内において住宅の取得等をして

これらの家屋を平成11年1月1日から令和3年12月31日までの間に

その者の居住の用に供した場合において、その者がその住宅の取得等に

係る住宅借入金等の金額を有するときは

原則として、その居住の用に供した日の属する年以後10年間の各年のうち

その者のその年分の所得税に係るその年の合計所得金額が3,000万円以下である年については

その年分の所得税の額から、住宅借入金等特別税額控除額を控除することと定められています。

この制度を、住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)といいます。

2.中古マンションの取得についての住宅ローン控除の適用可否
上記1.の住宅ローン控除の対象となる住宅の取得等には

居住用家屋の新築や居住用家屋で建築後使用されたことのないものの取得だけでなく

建築後使用されたことのある家屋(中古住宅)の取得も含まれています。

ただし、中古住宅の取得の場合には

その家屋が建築された日からその取得の日までの期間が20年

(マンションなどの耐火建築物(※)の建物の場合には25年)以下であること

配偶者その他その者と特別の関係がある者からの取得でないこと

贈与による取得でないこと等の要件が設けられていますので

そのお客様の確定申告を行う際には

それらの各種要件を満たしているかどうかをしっかりとご確認いただくことをおすすめいたします。

※耐火建築物とは、登記簿に記録されたその家屋の構造のうち

建物の主たる部分の構成材料が石造、れんが造、コンクリートブロック造

鉄骨造、鉄筋コンクリート造又は鉄骨鉄筋コンクリート造であると定められています。

2021.12.18

改正電子取引 令和5年末まで書面保存を認容

令和4年度税制改正大綱で宥恕措置を明記宥恕措置の関係など今後の電子保存対応を詳報

12月10日令和4年度与党税制改正大綱が決定しました。

令和4年1月1日以後、検索要件等の保存要件を満たす形で電子取引の取引情報に係る

電子データの保存が義務化されますが、所轄税務署長への事前申請が不要な

宥恕措置の整備が同大綱に盛り込まれています。

同措置の適用によって、令和5年12月31日までは出力書面での保存も認められ

実質的にこれまでの出力書面又は電子データのいずれかを保存する方法が2年間継続することになります。

同措置は今月下旬に公表される省令等改正で手当てされる見通しです

手続不要で書面保存可,R6年以降は電子保存必須

令和4年度与党税制改正大綱で、電子取引について宥恕措置が示されました。

令和5年12月31日までの電子取引の取引情報に係る電子データについて

保存要件に従い保存ができなかったやむを得ない事情があり

かつ、税務調査で出力書面の提出等に応じる場合には

その出力書面での保存を認めるという内容です。

出力書面の保存に当たって「引き続き所轄税務署長への手続を要せず」とあるとおり

これまでの出力書面の保存をする場合と同様に手続不要で書面での保存が認められます

ただし、令和6年以降の電子取引においては同措置の適用はなく

保存要件を満たす形で電子データ保存が必要となります

個社状況に応じて宥恕措置を適用

宥恕措置の適用に当たって「所轄税務署長が電子取引の取引情報に係る電磁的記録を

保存要件に従って保存ができなかったことについてやむを得ない事情があると認める」

といった要件があります。この“やむを得ない事情”は、現時点で例えば

『システム整備の予算が確保できなかった』

『他業務との兼ね合いでシステム整備に時間がかかり間に合わなかった』

『社内ワークフローの整備が追いつかなかった』など

その企業の状況において対応が困難であったというのであれば

基本的にはやむを得ない事情があるとして同措置の適用対象になるようです。

つまり「事業者の実情に配意し」引き続き手続不要で書面保存を認めるものと

なるようです

また、同措置がなかったとしても電子データ保存に対応できず

書面保存をしていたことのみをもって、青色申告の承認取消しや

経費の損金算入が不可とはならないことを国税庁が明確にしています。

このことから、相応に間口が広い措置になるとみられています

 

 

2021.12.04

コロナ禍で抑えておくべき財務指標

東京商工リサーチの調査によると、2021年上半期(1月~6月)の全国企業倒産件数は3,044件でした。

この数字は、過去50年間でバブル期(1990年)に次ぎ、2番目に低い水準です。

これは、新型コロナウイルスの感染拡大により業績が悪化した企業に加えて

コロナ禍以前より資金繰りに窮していた企業が

いわゆる「コロナ融資」を受けることで目先の資金を確保できた結果だと考えられています

ただし、「コロナ融資」はあくまでも延命措置です。

返済開始までに本質的な事業再構築を進めることができなければ

資金は枯渇し、倒産企業は急増していくことが予想されます

こうした事態を防ぐためにも

経営者は会社の生命線である財務状況を適切に把握した上で

先を見据えた経営戦略を描く必要があります。

今回は、コロナ禍で抑えておくべき財務指標についてお伝えします。

①売上債権回転率・・・売上高÷売上債権

売上債権回転率は、売上高を売上債権(受取手形+売掛金)で割って算出します。

これは販売した商品代金の回収速度を示すもので

回転数が大きいほど、債権回収の速度が速いといえます。

コロナ禍前の適正水準よりも数値が悪化している場合は

取引先の業績悪化などで取引条件通りの回収ができなくなっている等の可能性があります。

早めに適切な対処をするためにも、売上債権回転率は継続的に注意深く

観察する必要があります

②棚卸資産回転率・・・売上高÷棚卸資産

棚卸資産回転率は、売上高を棚卸資産(商品、製品、仕掛品、原材料などの合計額)

で割って算出します。

この比率が高いほど、商品や製品の売れ行きがよい、

また、売れ行きに見合った商品や製品を在庫として保有しているといえます。

同業他社との比較や、自社の過去の実績との比較などで

数値の変化を把握しておくことは重要です。

回転率が低くなっているような場合は、休眠在庫(スリーピングストック)や

不良在庫(デッドストック)が発生している可能性が高いため

早急に確認する必要があります。

③当座比率・・・当座資産÷流動負債×100

当座比率は、流動資産の中でも換金性の高い当座資産

(現金預金・受取手形・売掛金・有価証券等)を流動負債で割って算出します。

短期的な支払能力を図る指標であり

一般的に80%を下回ると資金繰りが苦しくなるといわれているため

活用していない固定資産を売却して現金化することや

借入金の借り換え(短期→長期)等を進める必要があります。

④借入金月商倍率・・・(短期借入金+長期借入金+社債)÷(売上高÷12)

借入金月商倍率は、借入金等を月商で割って算出します。

この指標は、借入金が事業規模と比較して多すぎないかどうかを判断する目安となります。

コロナ融資により、借入金が急激に増加した企業も少なくないはずです。

返済計画を見据えて、従来の運転資金を確保することができるよう

コントロールしておく必要があります

 

上記の財務指標を一度算出し

コロナ禍において自社の財務状況がどのように変化しているのか、確認しておきましょう

 

 

2021.11.27

優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置の適用を受けるための要件

[相談]

令和4年1月1日からの改正電子帳簿保存法施行にあたり、法人税申告について

いわゆる「優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置」の適用を受けるための

届出書を提出することを計画しています。

当社は、仕訳帳・総勘定元帳の他に、売掛帳や買掛帳などの帳簿も作成しているのですが

売掛帳や買掛帳などについては仕訳帳・総勘定元帳とは別の業務システムを使用しています。

社内で確認したところ、電子帳簿保存法上の優良な電子帳簿の要件を満たしているのは

仕訳帳と総勘定元帳を作成している会計ソフトのみであることが分かったのですが

このような場合、その法人は上記軽減措置の適用を受けることができるのでしょうか

[回答]

ご相談の場合、法人税について優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置の適用を

受けることはできないものと考えられます。

[解説]

1.優良な電子帳簿とは

電子帳簿保存法上の優良な電子帳簿とは

同法に規定する国税関係帳簿に係る電磁的記録の備付け及び保存をもって

その国税関係帳簿の備付け及び保存に代える電子帳簿のうち

電子帳簿保存法施行規則に定める要件をすべて満たした電子帳簿をいうものと定められています。

 

2.優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置

電子帳簿保存法上の優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置とは

上記1.の優良な電子帳簿に記録された事項に関し修正申告などがあった場合において

過少申告加算税が課されることとなったときは

その過少申告加算税の額を、原則として、国税通則法の規定により計算した過少申告加算税の金額に

5%の割合を乗じて計算した金額を控除した金額とするという制度です。

この優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置の適用を受けられるのは

「特例国税関係帳簿」に記載された事項に限られると定められています。

特例国税関係帳簿とは、国税に関する法律に規定する帳簿を指しますが

法人税の場合は、仕訳帳・総勘定元帳の他に売掛帳や買掛帳を作成している場合には

それらの作成している帳簿すべてが法人税法上の帳簿に該当すると考えられることから

それらの帳簿すべてについて

上記1.の優良な電子帳簿の要件を満たして保存などを行う必要があることとなります。

今回のご相談の場合、その法人が作成している売掛帳や買掛帳については

上記1.の優良な電子帳簿の要件を満たしていないとのことですので

その法人の法人税申告について過少申告加算税が課されたときであっても

優良な電子帳簿に係る過少申告加算税の軽減措置の適用を受けることはできないものと考えられます。

2021.11.20

R3確定申告からふるさと納税の申告簡素化

R3確定申告からふるさと納税の申告簡素化

令和3年分の所得税等の確定申告から、ふるさと納税の申告手続における

添付書類が見直されます。

これまで原則として必要とされていた地方公共団体による寄附金の受領書に代えて

ふるさと納税のポータルサイトを運営する特定事業者が発行する

「寄附金控除に関する証明書」を添付して申告できるようになります。

団体ごとの受領書の保管等が不要に

ふるさと納税制度では、地方公共団体に対して寄附をした金額に応じて

所得税及び住民税の寄附金控除を受けることができます 

寄附先が5団体以内の給与所得者(確定申告不要な場合)であれば

申告不要のワンストップ特例制度を利用できます

しかし、5団体を超える自治体に寄附を行った場合や

確定申告をする者がふるさと納税について寄附金控除を受ける場合には

確定申告書に寄附金の受領書の添付が必要とされています。

この受領書は、各団体から寄附ごとに発行されるため

複数の寄附がある場合には保管等の手間がありました。

しかし、

令和3年分の確定申告からは、寄附ごとの寄附金の受領書に代えて

ふるさと納税のポータルサイト等を運営する特定事業者が発行する

「寄附金控除に関する証明書」を添付することで

寄附金控除を適用できるようになります。

寄附者にとっては、利用したポータルサイトにおける年間の寄附を

一括して記載した証明書を取得できることになります。

対象となる特定事業者は,11月12日時点で14社です。

マイナポータル連携による証明書取得も可能

特定事業者が発行する寄附金控除に関する証明書には

寄附者の氏名・住所,年間寄附額,特定事業者が寄附を管理している番号

寄附年月日,寄附先の名称・法人番号といった事項が記載されます

証明書の取得方法は,利用したポータルサイト上での電子発行

マイナポータル連携での電子発行,又は郵送での書面発行等のうち

利用したポータルサイトが対応している方法から選択することとなります

2021.11.05

給与計算ソフトを使用した場合の源泉所得税額の計算方法

[相談]

私は、従業員数3名の会社で経理を担当しています。

これまで、毎月の給与計算は「税額表」を用いて手計算で行っていたのですが

従業員数が増加したことに伴い、新たに給与計算ソフトを導入することになりました。

今回、その導入後初めての給与計算を行ったところ、計算された源泉所得税額が

税額表の税額と若干の差異があり、その理由が分からず困惑しています。なぜでしょうか。

(例)社会保険料控除後の給与額が304,902円の人(税額表甲欄、配偶者・扶養親族等なし)の場合

  1. 手計算(税額表)による源泉所得税額……8,670円
  2. 給与計算ソフトで計算した源泉所得税額……8,780円
  3. [回答]

  4. ご相談の差異については、導入された給与計算ソフトが「電算機特例」を用いて
  5. 源泉所得税額を計算しているために生じたものと考えられます。

 

[解説]

ご相談の差異については、導入された給与計算ソフトが「電算機特例」を

用いて源泉所得税額を計算しているために生じたものと考えられます。

[解説]

1.給与計算における源泉所得税額の2通りの求め方

給与計算を行う場合において、その給与から控除する所得税(源泉所得税)の額は

国税庁の「給与所得の源泉徴収税額表」(税額表)を参照して求めることができます。

また、給与計算ソフトを導入している場合には、税額表に記載されている税額によらず

「月額表の甲欄を適用する給与等に対する税額の電算機計算の特例」(電算機特例)

によって求めることもできるとされています。

2.電算機特例による源泉所得税額の計算過程

今回のご相談の場合、電算機特例によって源泉所得税額を計算すると

源泉所得税額は下記のとおり求められます。

 ① 給与所得控除の額……304,902円×20%+36,667円=97,647円
 ② 配偶者控除の額、扶養控除の額‥0円
 ③ 基礎控除の額……40,000円
 ④ その月の課税給与所得金額……
      304,902円-(97,647円+40,000円)=167,255円
 ⑤ その月の給与から控除すべき源泉所得税額……
      167,255円×10.21%-8,296円=8,780円

※各計算過程の詳細な計算方法は、下記の表をご参照ください。

なお、今回のご相談の場合における差異はそれほど大きくありませんが

給与額や控除対象扶養親族等の数が大きくなると

その差異が広がることがありますのでご留意ください。

また、給与計算ソフトによっては、源泉所得税額の計算方法を税額表によるか

電算機特例によるかを選択できるものがありますので

一度確認されると良いかと思います。

2021.10.30

年の中途で業務用不動産を購入し、支払った固定資産税相当額

誤った取扱い

年の中途で業務用不動産を購入するに当たり、不動産の売買代金とは別に

その不動産に係る固定資産税相当額を、所有期間に応じて月割で計算し

て売主に支払ったので、租税公課として必要経費に算入した。

正しい取扱い

業務の用に供される資産に係る固定資産税は必要経費に算入するとされている

(所基通37-5)が、固定資産税は、その年の1月1日における所有者に課税する

とされている(地方税法343、359)ことから、年の中途で不動産を売買した場合で

買主が当該不動産に係る固定資産税相当額を所有期間等であん分して売主に支払ったとしても

買主は、その不動産に係る固定資産税の納税義務者ではないので所基通37-5は適用されない。

事例の場合、買主が支払った固定資産税相当額は

当該不動産の取得価額に算入することとなる。

出典:大阪国税局「個人課税関係 令和2年版 誤りやすい事例 所得税法」)

2021.10.23

令和4年1月から一定の要件を満たせば領収書と請求書を捨ててもOK

 令和3年度改正で抜本的に要件が緩和されたスキャナ保存制度要件が

大きく緩和されました。

スキャナで読み取った請求書等に係る電磁的記録を保存していれば

紙の請求書等の保存がなくとも消費税の仕入税額控除ができます

 この制度は、取引の相手先から受け取った請求書等及び自己が作成した

これらの写し等の国税関係書類(決算関係書類を除く)について

書面による保存の代わりに一定の要件の下でスキャン文書による

保存を認めました。

 現行の区分記載請求書等保存方式で、消費税の仕入税額控除の要件を満たすには

原則として紙の請求書等の保存が必要です

 しかし、改正電子帳簿保存法により取引先から受け取った請求書等

に係る電磁的記録を保存している場合は、その基となった書類を

保存していない場合でも仕入税額控除の適用を受けることができます。

この取扱いは改正スキャナ保存制度がスタートする令和4年1月以後も変わりません。

 

2021.10.15

従業員へのテレワーク費用支給と現物給与の関係

[相談]

当社では、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策としてテレワークを推進しています。

このテレワークに関する諸費用の負担について

当社のテレワーク勤務規程では次のとおり定められています。

  1.  1.テレワークに必要なパソコン等の情報通信機器は、会社が従業員に貸与する
  2.  2.上記の情報通信機器の使用に伴って生じるインターネット回線接続費用等(通信費)は
  3.    会社が負担する
  4.  3.通信費以外の費用については、従業員負担とする
  5. 上記のうち、会社が負担することとなっている通信費について
  6. 所得税法上の現物給与として取り扱われる場合があると聞きましたが
  7. それはどのような場合でしょうか。教えてください。

[回答]

従業員に支給する通信費が、テレワークの有無にかかわらず一律で支給されるものであったり

テレワークに通常必要な費用を超える金額であったりする場合には

現物給与として所得税の課税対象となります

[解説]

1.現物給与とは

所得税法上、給与収入には金銭収入だけでなく、金銭以外の物・権利

その他経済的な利益も含めることと定められています。

この金銭収入以外で給与収入に含まれるもの(経済的利益)のことを

一般に「現物給与」といいます。

この現物給与については、原則として所得税が課税されますが

交通機関を利用している人に支給する通勤用定期乗車券など

一定のものについては非課税とされています。

2.テレワークに伴って会社が負担する通信費の取扱い

新型コロナウイルス感染症拡大防止のためテレワークを導入する企業が増えたことに伴い

国税庁は令和3年1月に「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ」を公表しました。

その中で、在宅勤務費用を企業が負担した場合の取扱いについては

次のとおりとされています。

  1. 1.在宅勤務に通常必要な費用について、その費用の実費相当額を精算する方法により
  2.   企業が従業員に対して支給する一定の金銭については
  3.   従業員に対する給与として課税する必要がないこと
  4. 2.一方で、例えば企業が従業員に対して毎月5,000円を渡切りで支給するものなど
  5.   従業員が在宅勤務費用として使用しなかった場合でもその金銭を企業に返還する必要がないものを
  6.   支給した場合には、従業員に対する給与として課税する必要があること
  7. 3.インターネット接続に係る通信料について、基本使用料やデータ通信料などについては
  8.   業務のために使用した部分を合理的に計算する必要があること

 

このため、今回のご相談の場合、御社が負担することとなっている通信費が

テレワークの有無にかかわらず一律で支給されるものであったり

テレワークに通常必要な費用を超える金額であったりする場合には

現物給与として所得税の課税対象となる可能性があります。

2021.10.09

改正された所得拡大促進税制における税額控除額

[相談]

令和3年4月1日以降に開始する事業年度から、中小企業者等について

所得拡大促進税制(給与等の支給額が増加した場合の法人税額の特別控除)が改正されていますが

その改正後の制度における税額控除額について教えてください。

[回答]

 ご相談の改正後の所得拡大促進税制の税額控除額は

その事業年度の控除対象雇用者給与等支給増加額の15%相当額となります。

[解説]

1.改正後の所得拡大促進税制の適用要件

令和3年度税制改正後(令和3年4月1日以降に開始する事業年度)の所得拡大促進税制については

その適用要件が「雇用者給与等支給額」の増加要件に一本化されました。

具体的には、中小企業者等の場合、雇用者給与等支給額が前年度と比べて

1.5%以上増加していることが必要とされています。

2.改正後の所得拡大促進税制の税額控除額の計算方法

上記1.の改正後の税額控除額は、原則として

その中小企業者等のその事業年度の控除対象雇用者給与等支給増加額(※1)の15%と定められています。

なお、その税額控除額は、その中小企業者等のその事業年度の所得に対する

調整前法人税額の20%が上限となります。

  1. ※1 控除対象雇用者給与等支給増加額とは、その中小企業者等の雇用者給与等支給額から
  2.   その中小企業者等の比較雇用者給与等支給額を控除した金額(※2)をいいます。
  3. ※2 ※1の金額がその中小企業者等の適用年度の調整雇用者給与等支給増加額
  4.  (※3)を超える場合には、その調整雇用者給与等支給増加額が上限となります。
  5. ※3 調整雇用者給与等支給増加額とは、雇用安定助成金額を控除した雇用者給与等支給額から
  6.  雇用安定助成金額を控除した比較雇用者給与等支給額を控除した金額をいいます。
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2021.10.01

経営計画を作成すると、どう融資判断に影響を与えるか

 金融機関に提供すべき資料は、試算表や資金繰り表といった財務帳票だけではありません。

経営計画(※ここでは利益計画を指します)も金融機関にとっては重要な判断材料となるのです。

今回はそれがどう融資に影響するかをお伝えします。

 

提供する経営計画の内容

3箇年、5箇年計画が望ましいですが、1年分の利益計画だけでも充分です。

注意すべきことは、実態に則った実現可能なものに限ることです。

そして、その計画をどう実行していくかの具体的な方法を記載する必要があります。

金融機関側は、経営計画ではこれから先どうなっていくのか

そして現状は計画通りなのかを知りたいのです。

 

金融機関の予想される反応

まず、経営計画を作成されている会社様が多くはないので

作成しているだけで金融機関側は下記のように評価します。

・しっかりと計画を立てて事業を営んでいる、将来のビジョンが描けている

・計画通りに進んでいれば、今後の計画も達成する見込みが高い

・数字に理解がある経営者である(計画の見直しや対策を行い

   それに至った具体的な説明を行えば、このようにみる可能性が高い)

上記のように、経営計画を金融機関に提供するだけでプラスの判断材料として

良い印象を持たれる可能性が極めて高いです。

 

プラスの印象がどう影響するか、金融機関の事情①

金融機関では難しい融資判断をする際、支店長が担当者に

「君がお金を貸す立場だった場合、この会社、代表者にお金を貸すか?」

と聞くことがあります。

その時、担当者が経営計画の作成等といったプラスの判断材料を話し

良い印象を与えられれば融資の結果が変わることもあります。

支店長も迷う時が必ずあります。

その時には、何か後押しできる判断材料がほしいのです。

 

プラスの印象がどう影響するか、金融機関の事情②

 まず、金融機関の融資業務フローは下記の通りです。

【1】担当者が稟議書を作成

【2】融資課長、次長が所見を記載

【3】支店長が決済

【4】支店長が所見を記載し本部へ稟議を回す(本部決済)

この際、【1】において担当者が融資をする企業の詳細を記載します。

【3】の支店長決済までなら、支店長も融資をする企業の事を分かっていますが

【4】になると、審査部にいる者が融資の可否を判断するので

 上がってきた稟議書と決算書でしか判断してくれません。

そのため、本部決済の場合はどれだけ担当者が

【1】の内容を濃く、深くしてくれるかが融資の結果に影響します。

 

実際にあった事例

数千万円の融資案件で、本部稟議となった会社様がいらっしゃいましたが

その後の本部審査で否決となりました。

しかし、支店長が本部に足を運び、その会社様や代表者様の事

作成されている経営計画書の事等、稟議書には載りきらない細かい部分まで話し

交渉した結果、融資可決となったケースがありました。

このように、プラスの判断材料を提供しているのといないのとでは

明確な差が生じるケースもあります。

 

最後に

業績良好な会社でも融資金額が大きいものや金利が低いもの

期間が長いといった特別な融資を申し込む際は

ほとんどが本部稟議となります。

そのため、良い条件の融資を通してもらうために

経営計画を提供するのもいいかもしれません。

金融機関からの良好な評価を得るためにも、経営計画を作成し

取引金融機関へ提供することをお勧めいたします。

 

2021.09.25

令和3年分源泉徴収票からスマホ撮影で自動転記が可能となります

納税者の利便性向上や転記ミスの軽減効果

国税庁は、スマートフォンのカメラ機能により紙の源泉徴収票を読み取ることで

必要項目がデータ上に自動転記できるシステムを導入するようです。

令和3年分の所得税の確定申告から対応できるようにする見込みです。

同システムを利用することで

納税者は紙の源泉徴収票に記載された金額等を転記する手間が省略化され

転記ミスの防止にもつながるようです。

2022年1月上旬からシステム始動

デジタルを活用した国税に関する手続や業務の見直しとして

国税庁は「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション-税務行政の将来像2.0-」

の中で税務手続等のデジタル化を掲げていました。

令和2年度・3年度予算において同システムの構想を進めており

2022年1月上旬から本格的に活用を始める見込みです。

同システムは,スマートフォンのカメラ機能を利用するようです

①納税者は、まずスマホ端末から申告データが作成できる国税庁HPの

 “確定申告書等作成コーナー”にアクセスします。

②次に、紙の源泉徴収票をカメラで撮影することによって

 記載されている支払金額や各種控除額等の文字認識が行われ

 必要事項が自動的に転記されます。

これまでは申告書類に紙の源泉徴収票の記載内容を一つひとつ転記する必要がありました。

今後はこうした入力の手間を省略することができ、記載漏れや転記ミスが防止できます

ただし、同システムの利用は源泉徴収票に記載された部分の申告データの作成に限られます

他の所得や医療費控除等の各種控除手続については別途入力する必要があるようです。

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2021.09.17

令和3年7月以降の税務調査対応について

令和3年7月以降の中小企業への税務調査について

現在、新型コロナウイルス感染症の拡大防止などの観点から

国税局の調査課所管法人(資本金1億円以上の法人のことです)に対する実地調査では

調査官が調査対象の会社に訪問したうえで会社のWEB会議システムを用いる

“臨場型”リモート調査が行われることがあります

国税庁は全国税局等に税務署所管の中小規模の法人に対しても

本年7月から臨場型リモート調査を認める旨を連絡しているようです。

法人の規模を問わず臨場型リモート調査

原則として資本金1億円以上の国税局の調査課所管法人では

コロナ禍で調査対象法人への臨場・対面の回数や時間を抑えるために

WEB会議システムを活用した臨場型リモート調査が実施されています。

具体的には、調査官が調査対象の会社を訪問してその会社が利用している

WEB会議システムを活用し、本社に勤務する従業員に対し別々の部屋から

行うリモート調査や、遠隔地の支店や工場などに勤務する従業員への

リモート調査が行われることがあります。

これまでは、一定のネットワーク環境が整えられていると考えられる

調査課所管法人(資本金1億円以上の会社)を対象に

臨場型リモート調査が行われてきました。

しかし、資本金1億円未満の中小企業でもネットワーク環境が整えられていることも考えられます

そのため、セキュリティ保全がされたWEB会議システムであることなどを前提に

資本金が1億円未満で税務署所管法人でも臨場型リモート調査の対応がとられることに

なったようです

納税者からの要望あれば,臨場型リモート調査を実施

会社が調査官に要望した場合に臨場型リモート調査が行われます

特に遠隔地の支社等の従業員等に質問をする際などでの活用が想定されています。

一方、調査で必要な資料などを現場で直接確認する必要があるなどと

判断された場合などは、会社が要望した場合であっても

臨場型リモート調査ではなく通常の対面による調査手法がとられることがあるようです

臨場型リモート調査の実施の前提

〇税務調査では機密性の高い情報のやり取りが行われることや

 システムの脆弱性に起因するリスクがあることを法人が理解していること

〇機密性の高い情報のやり取りを含め

 法人が通常業務で使用しているWEB会議システムを利用すること

〇法人が管理・支配する場所等で,法人が使用する機器・接続環境を利用し

 セキュリティポリシーの範囲内で活用すること

2021.09.10

中小M&A準備金制度と取崩し事由

「中小企業事業再編投資損失準備金制度」とは・・・

 令和3年度改正で創設の「中小企業事業再編投資損失準備金制度」は

一定の計画に従って買収した株式等の取得価額70%までの金額を

準備金として積み立てることでM&A実施年度に損金算入(経費処理)できるものです。

 

 この準備金は,据置期間中(準備金の積立事業年度終了日の翌日からの5年間)に

⇒“取崩し事由”が生じた場合には該当事業年度で一定額を取り崩して

⇒生じなかった場合には据置期間経過後の5年間にわたって均等に益金算入することになります。

 

 ここでの取崩し事由とは

⇒買収した株式等の売却

⇒帳簿価額の減額

⇒経営力向上計画の認定取消しなどのことを言います

各事由に応じて計算した取崩し額を益金算入することになります

取崩しの事例

 例えば,株式の一部を売却した場合の取崩し額は

「準備金×売却した株式の数/売却直前に保有していた株式の数」で計算します。

 

X期にM&A実施で株式2,000株(取得価額1億円)を取得し

7,000万円(取得価額の70%)を準備金として積み立て

X+3期に500株を売却したケースを想定すると

X+3期の取崩し額は1,750万円(=7,000万円×500株/2,000株)となります

 

また,据置期間中に取崩し事由が生じても

準備金が残る場合は,その残額を据置期間経過後の5年間で均等に益金算入します

前述の例の場合,残額は5,250万円(=7,000万円-取崩し額1,750万円)となるので

X+6期からX+10期でそれぞれ均等に益金算入する額は

1,050万円(=5,250万円/5年)となります。

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